スピントロニクス理論の基礎/2 の変更点
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[[[前の章へ]>スピントロニクス理論の基礎/1]] <<<< [[スピントロニクス理論の基礎]](目次) >>>> [[[次の章へ]>スピントロニクス理論の基礎/3]] * 2 磁性と電気伝導の基礎 [#c3828765] #contents ** 磁化と局在スピン [#x0fcb757] 磁化 &math(\bm M); は &math(\mathrm{A/m}); という単位を持ち、物質の持つ磁気モーメント &math(\mathrm{Am^2}); を体積当たりにした量。これと原子当たりのスピンの大きさ &math(\bm S); との関係は、電子スピンあたりの磁気モーメントが &math(-g\mu_B/2); なので: &math( a^3 \bm M=-g\mu_B \bm S ); より、(2.9) &math( \bm M=-\frac{g\mu_B}{a^3}\bm S ); となる。(&math(|\bm S|=1/2); であることに注意) ** 電子のスピン [#j523d8aa] 量子力学では電子のスピン角運動量は &math(s=1/2); であり、 量子力学では電子のスピン角運動量は &math(S^2=\frac{3}{4}\hbar^2); および &math(S_z=\pm\frac{1}{2}\hbar); などと習うが、 ここで書いている &math(|S|=1/2); はスピン量子数であって、 ここで書いている &math(|S|=1/2); はスピン量子数であって角運動量ではなく、 さらに古典論の範疇なので &math(\bm S); は任意の方向を向き、 その &math(x,y,z); 各成分は同時に決定可能である。 ** ボーア磁子とg因子 [#yb87104a] 電子スピンの磁気モーメントは上記の通り &math(a^3\bm M=-g\mu_B \bm S); と表される。よく見る式では右辺の &math(\bm S); の代わりに &math(\bm S/\hbar); となるが、 これは上記の通り &math(S=\hbar/2); がスピン角運動量であるため。 この教科書のように &math(S=1/2); としてスピン量子数である場合、 角運動量は &math(\hbar S); と表される。(&math(\hbar); はそのまま角運動量の単位を持つことに注意) いずれにせよ、角運動量を &math(\bm L); とすれば、 &math(a^3\bm M=-g\mu_B \frac{\bm L}{\hbar}); である。 角運動量と磁化が比例関係にあることは、以下の様にして説明される。 質量 &math(m_e); の電子が半径 &math(r); の円軌道を速さ &math(v); で回転するとき、その角運動量は (運動量)×(原点からの距離) として求められるから、 &math(L=p r=m_e v r); となる。同じ仮定で、この電子は &math(2\pi r); の円周上を速さ &math(v); で回転するため、 円周上を1秒間に &math(v/2\pi r); 回だけ周回する。すなわち、円軌道を流れる電流は1秒間に &math(\frac{ev}{2\pi r}); だけの電荷を運ぶ。上式は電流そのものを表し、 &math(I=\frac{ev}{2\pi r}); である。磁化は電流に面積を掛けて表され(MKSA単位系ならそれに &math(\mu_0); が掛かる)、 &math(a^3 M=IA=I\pi r^2=\frac{evr}{2}=\frac{e}{2 m_e}L=-g\mu_B \frac{L}{\hbar}); ボーア磁子の定義は &math(\mu_B\equiv\frac{e\hbar}{2 m_e}); なので、 &math(L); が軌道角運動量であれば当然 &math(g=1); となり、 確かに角運動量と磁化が比例関係にあることが分かる。 &math(L); がスピン角運動量の時は比例係数が異なり、&math(g\sim 2); となって、 これが電子スピンの &math(g); 因子と呼ばれる物である。 電子スピンの &math(g); 因子の &math(2); からのずれ &math(a=g-2); は異常磁気モーメントと呼ばれる。 ** 強磁性相互作用 [#jd67b07e] 隣り合うスピンが平行になると安定なので、最隣接のみを考慮したハミルトニアンは &math( H_J=-J_0\sum_{\bm r,\bm a}\bm S(\bm r)\cdot\bm S(\bm r+\bm a) ); ただし &math((J_0>0)); であり、&math(\bm a); は隣の格子点へのベクトル。~ &math(S); が無次元なので、&math(J_0); はエネルギーの次元を持つ。 ダブルカウントを防ぐことを考えると、立方格子であれば &math(\bm a); は &math( \bm a=\begin{pmatrix}a\\ 0\\ 0 \end{pmatrix} \mathrm{or} \begin{pmatrix}0\\ a\\ 0 \end{pmatrix} \mathrm{or} \begin{pmatrix}0\\ 0\\ a \end{pmatrix} ); の3種類を取る。 ** 連続極限 [#eb5cdf2b] フェルミエネルギーレベルの極端に高エネルギーの電子伝導を考えない限り、 格子の効果は均して考えることができる → 連続極限 &math( \bm S(\bm r)\cdot \bm S(\bm r+\bm a)=-\frac{1}{2}\{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2 + S^2 ); 連続極限では &math(\bm S); は大きさを変えず、その向きだけを &math(a); の空間スケールに比べて十分ゆっくりと変化すると考える。 - 大きさを変えないことから &math(S^2); の項は定数項として落とせる。 - &math(\bm a); を小さいとして1次の項までで評価する。 &math( \{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2= \{\bm a\cdot\bm \nabla S_x(\bm r)\}^2+ \{\bm a\cdot\bm \nabla S_y(\bm r)\}^2+ \{\bm a\cdot\bm \nabla S_z(\bm r)\}^2 ); 立方格子では &math( \bm a&=(a,0,0),(0,a,0),(0,0,a)\\ &=a\bm e_x,a\bm e_y,a\bm e_z ); なので、 &math( \sum_{\bm a=a\bm e_x\!,\, a\bm e_y\!,\, a\bm e_z}& \{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2\\ =\ &a^2\{\bm \nabla S_x(\bm r)\}_x{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_x(\bm r)\}_y{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_x(\bm r)\}_z{}^2+\\ &a^2\{\bm \nabla S_y(\bm r)\}_x{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_y(\bm r)\}_y{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_y(\bm r)\}_z{}^2+\\ &a^2\{\bm \nabla S_z(\bm r)\}_x{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_z(\bm r)\}_y{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_z(\bm r)\}_z{}^2\\ \equiv&\ \{\nabla \bm S(\bm r)\}^2 ); より、 &math( H_J=\frac{J}{2}\sum_{\bm r}\nabla {\bm S}(\bm r)^2 ); ただし、&math(J\equiv J_0a^2); である。 &math(J); は (エネルギー) × (距離)^^2^^ の次元を持つことになる。 * 質問・コメント [#oc9ef424] #article_kcaptcha
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