線形代数I/教科書定理/2.10 の変更点
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* 定理2.10 [#mc609ae5]
線形写像が1対1であることと、その核がゼロベクトルのみを含むこと、
すなわち &math(\text{Ker}\,\phi=\{\bm{o}\}); とは同値である。
* 証明1(教科書のもの) [#u6101a15]
まず線形写像の核は必ずゼロベクトルを含むことを示す。
なぜならベクトルと線形写像の性質から、
&math(\phi(\bm{x})=\phi(\bm{x}+\bm{o})= \phi(\bm{x})+\phi(\bm{o}));~
であるが、両辺に &math(-\phi(\bm{x})); を加えると、
&math(\phi(\bm{o})=\bm{o});
つまり、&math(\bm{o} \in \text{Ker}\,\phi); となる。
ところが、&math(\phi); が1対1写像であれば &math(\bm{x} \ne \bm{o});
は &math(\phi(\bm{x}) \ne \phi(\bm{o}) = \bm{o}); を意味するので、
&math(\text{Ker}\,\phi); はゼロベクトル以外の要素を含まない。
逆に、&math(\text{Ker}\,\phi=\{\bm{o}\}); であるとすると、
&math(\phi(\bm{x}_1)=\phi(\bm{x}_2)); を変形して~
&math(\phi(\bm{x}_1)-\phi(\bm{x}_2)=\bm{o});~
&math(\phi(\bm{x}_1-\bm{x}_2)=\bm{o});
より、
&math(\bm{x}_1-\bm{x}_2=\bm{o}); すなわち~
&math(\bm{x}_1=\bm{x}_2);
を導くことができ、この対偶として &math(\phi); が1対1写像であること
が示される。
* 証明2 [#m9af40ad]
線形写像 &math(\phi); が1対1である
の定義は
&math(\bm{x}_1 \ne \bm{x}_2); であるような &math(\bm{x}_1 \ne \bm{x}_2); について
&math( \phi(\bm{x}_1) \ne \phi(\bm{x}_2)); である
ということであった。これを数学的に書けば
&math(\bm{x}_1 \ne \bm{x}_2 \to \phi(\bm{x}_1) \ne \phi(\bm{x}_2));
となるが、これの対偶は
&math(\phi(\bm{x}_1) = \phi(\bm{x}_2) \to \bm{x}_1 = \bm{x}_2);
である。
さらに両辺を変形すると、
&math(\phi(\bm{x}_1-\bm{x}_2)=\bm{o} \to \bm{x}_1 - \bm{x}_2=\bm{o});
&math(\bm{z}=\bm{x}_1 - \bm{x}_2); と置けば、
&math(\phi(\bm{z})=\bm{o} \to \bm{z}=\bm{o});
であり、これは &math(\text{Ker}\,\phi=\{\bm{o}\}); と同値である。
これは &math(\text{Ker}\,\phi=\{\bm{o}\}); と同値である。
途中の変形はすべて同値変形であるから、定理は証明された。
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