場の量子化(第2量子化) の変更点

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[[量子力学Ⅰ]]

* 目次 [#z5cc1b78]

#contents

* 場の量子化 [#f248fdc4]

ハートレー・フォック法ではフォック方程式の解に現れる
正規直交完全系 &math(\set{\varphi_k(\bm r)}); から任意の &math(n); 
個を選んで、フェルミ粒子であればスレーター行列式、
ボーズ粒子であればスレーター行列のパーマネントを作ることで、
多体波動関数の近似解を得た。

ボーズ粒子の波動関数はスレーター行列に解を並べる順番によらないため、
「エネルギーの低い方から数えて &math(k); 番目の固有関数を &math(n_k); 個取る」
という &math(\set{n_k}); を指定してしまえば、それで1つの解が得られることになる。

フェルミ粒子ではスレーター行列の2つの行を入れ替えると
波動関数の負号が反転するため、&math(\set{n_k}); 
に加えて「それらをどの順番で並べるか」も重要になる。
また1つの状態に複数粒子は入れないため &math(n_k=0\ \mathrm{or}\ 1); である。

このようなモデルを扱う便利な方法として、
場の量子化の手法が確立された。

** 名前の由来 [#r91f7c42]

以下は演算子のお遊び的になっていて、あまり「場の量子化」の雰囲気がないかもしれない。

この体系は、古典論から量子論への移行が、
正準変数(例えば &math(\bm r);)と正準運動量(例えば &math(\bm x);)で書かれた系のエネルギー
すなわちハミルトニアンの正準運動量を演算子に置き換えて波動方程式を得る、
という手順で行われたのに対して、

波動関数 &math(\Psi); で書かれた系のエネルギー(の期待値)

 &math(
\langle E\rangle=\int \Psi^* \hat H \Psi d\bm r
);

を、___粒子の波動関数自体を正準変数に見立てて演算子化し___、
___系の波動関数に対する方程式を得る___、という手順で体系化したものになっている。

その意味で、古典論の粒子 → 粒子の波動関数 → 系の波動関数 
という2段階の量子化手順を踏んでいるとして「第2量子化」と呼ばれたり、

波動関数 = 場 を変数に見立てた量子化であるから「場の量子化」と呼ばれたりする。

* 生成・消滅演算子 [#p2ac85a8]

あるスレーター行列で表される状態の左端に &math(\varphi_k); 
を追加する演算子を &math(\hat c_k^\dagger); とする。

粒子の個数がゼロである状態を &math(\ket 0); で表せば、
例えばスレーター行列

 &math(
[\,\varphi_\alpha,\varphi_\beta,\varphi_\gamma,\varphi_\delta\,]
);

で表される状態は、

 &math(
\hat c_\alpha \hat c_\beta \hat c_\gamma \hat c_\delta \ket 0
);

と記述できる。

一方、&math(\hat c_k^\dagger); を消す消滅演算子を &math(\hat c_k); と書くことにする。

** フェルミオンの反交換関係 [#u41d334d]
&mathjax();

*** (1) $\{\hat c_i^\dagger,\hat c_j^\dagger\}=0$ [#addf2fca]

フェルミオンでは波動関数の入れ替えで符号が変わるため、

 &math(\hat c_i^\dagger\hat c_j^\dagger=-\hat c_j^\dagger\hat c_i^\dagger);

である。これは、&math(i=j); の時には、

 &math((\hat c_i^\dagger)^2=0);

を表し、すでに &math(\varphi_i); を含む状態に、さらに &math(\varphi_i); 
を追加すれば行列式がゼロになってしまうという意味でやはり正しい。

演算子 &math(\hat A,\hat B); の「反交換関係」を、

 &math(\set{\hat A,\hat B}=\hat A\hat B+\hat B\hat A);

として定義すれば、上記は

 &math(\set{\hat c_i^\dagger,\hat c_j^\dagger}=0);

と表せる。

*** (2) $\{\hat c_i,\hat c_j\}=0$ [#y6ba3979]

任意の位置に &math(\hat c_k^\dagger); を含む状態に &math(\hat c_k); を掛けると、

&math(
&\hat c_{i_k}\cdot
\hat c_{i_1}^\dagger\,\hat c_{i_2}^\dagger\,\dots\,\hat c_{i_k}^\dagger\,\dots\,\hat c_{i_n}^\dagger\,\ket 0\\
&=
(-1)^{k-1}\cancel{\hat c_{i_k}}\cdot
\underbrace{\cancel{\hat c_{i_k}^\dagger}\,\hat c_{i_1}^\dagger\,\hat c_{i_2}^\dagger\,\dots\,(k番目欠)\,}_{k-1回入替えた}\dots\,\hat c_{i_n}^\dagger\,\ket 0\\
&=
(-1)^{k-1}\hat c_{i_1}^\dagger\,\hat c_{i_2}^\dagger\,\dots\,(k番目欠)\,\dots\,\hat c_{i_n}^\dagger\,\ket 0\\
);

のように「どこにあったか」に応じて符号が反転する。

一方、&math(\hat c_k^\dagger); を含まない状態に、
&math(\hat c_k); を掛けるとゼロになる。

これらを使えば上記と同様にして、

 &math(\{\hat c_i,\hat c_j\}=0);

が得られる。

*** (3) $\{\hat c_i\,\hat c_j^\dagger\}=\delta_{ij}$ [#e176ce03]

&math(j\ne k); のとき、
状態 &math(\hat c_k^\dagger\,\cdots\cdots\,\ket 0); に &math(\hat c_j^\dagger\,\hat c_k); と
&math(\hat c_k\,\hat c_j^\dagger); を作用させてみると、

&math(
\hat c_j^\dagger\,\cancel{\hat c_k}\cdot\cancel{\hat c_k^\dagger}\cdots\cdots\ket 0
=\hat c_j^\dagger\cdots\cdots\ket 0
);

&math(
\hat c_k\,\hat c_j^\dagger\cdot\hat c_k^\dagger\cdots\cdots\ket 0
=-\cancel{\hat c_k}\underbrace{\,\cancel{\hat c_k^\dagger}\,\cdot\,\hat c_j^\dagger\,}_{入替えた}\cdots\ket 0
=-\hat c_j^\dagger\,\cdots\cdots\ket 0
);

のように、結果の符号が異なったものになる。
また、元の状態が &math(\hat c_j^\dagger); を含むときは両者ともゼロとなる。
したがって、

 &math(
\hat c_k\,\hat c_j^\dagger\,=\,-\hat c_j^\dagger\,\hat c_k
);  &math((k\ne j));

すなわち、

 &math(
\set{\hat c_k,\hat c_j^\dagger}=0
);  &math((k\ne j));

一方 &math(k=j); の時、&math(\hat c_k^\dagger); を含む状態に作用させると、

 &math(
&\hat c_k^\dagger\,\hat c_k\cdot\,\big(\cdots\hat c_k^\dagger\cdots\ket 0\big)\\
&=(-1)^{(元の場所)-1}\ \hat c_k^\dagger\,\cancel{\hat c_k}\cdot\,\big(\cancel{\hat c_k^\dagger}\cdots\ \ \cdots\ket 0\big)\\
&=(-1)^{(元の場所)-1}\ \hat c_k^\dagger\cdots\ \ \cdots\ket 0\\
&=\big(\cdots\hat c_k^\dagger\cdots\ket 0\big)\\
);

 &math(
\hat c_k\underbrace{\hat c_k^\dagger\,\cdot\,\big(\cdots\,\hat c_k^\dagger\,\cdots\ket 0\big)}_{=0}=0
);

である。一方、&math(\hat c_k^\dagger); を含まない状態に作用させると、

 &math(
\hat c_k^\dagger\underbrace{\,\hat c_k\cdot\big(\cdots\cdots\ket 0\big)}_{=0}=0
);

 &math(
\underbrace{\hat c_k\,\hat c_k^\dagger}_{=1}\cdot\big(\cdots\cdots\ket 0\big)=\big(\cdot\cdots\cdots\ket 0\big)
);

どちらも、

 &math(\hat c_k\,\hat c_k^\dagger+\hat c_k^\dagger\,\hat c_k=1);

すなわち、

 &math(
\set{\hat c_k,\hat c_k^\dagger}=1
);

を満たす。

上の結果と合わせれば、

 &math(\{\hat c_i\,\hat c_j^\dagger\}=\delta_{ij}); 

を得る。

*** 数演算子 $\hat N_k=\hat c_k^\dagger\,\hat c_k$ [#tcd774c0]

上記結果を見ると、

 &math(
\hat c_k^\dagger\,\hat c_k
(\underbrace{\cdots\cdots\hat c_k^\dagger\cdots\cdots\ket 0}_{\hat c_k^\dagger を1個含む任意の状態})
=1\,(\underbrace{\cdots\cdots\hat c_k^\dagger\cdots\cdots\ket 0}_{変化しない})
);

 &math(
\hat c_k^\dagger\,\hat c_k
(\underbrace{\cdots\cdots\ \ \ \cdots\cdots\ket 0}_{\hat c_k^\dagger を0個含む任意の状態})
=0\,(\underbrace{\cdots\cdots\ \ \ \cdots\cdots\ket 0}_{変化しない})
);

となっており、まとめて

 &math(
\hat c_k^\dagger\,\hat c_k
(\underbrace{\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\ket 0}_{\hat c_k^\dagger をn_k個含む任意の状態})
=n_k\,(\underbrace{\cdots\cdots\cdots\cdots\cdots\ket 0}_{変化しない})
);

とも書ける。

すなわち、任意の状態は「数演算子」&math(\hat N_k=\hat c_k\,\hat c_k^\dagger); 
の固有状態であり、なおかつその固有値は &math(n_k); すなわちスレーター行列が
「&math(\varphi_k); を何個含んでいるか」に等しいことが分かる。

例えばこれを使うと、全粒子数 &math(N=\sum_k n_k); を

 &math(\sum_k\hat N_k(任意の状態)=N(任意の状態));

として求められる。

** ボゾンの交換関係 [#n29e3898]

*** (1) $[\hat c_i^\dagger,\hat c_j^\dagger]=0$ [#b595f698]

ボゾンでは粒子の入れ替えは全体の波動関数を変えないから、

&math(
\hat c_i^\dagger\,\hat c_j^\dagger=\hat c_j^\dagger\,\hat c_i^\dagger
);

すなわち、交換関係を

 &math([\hat A,\hat B]=\hat A\,\hat B-\hat B\,\hat A);

として定義すれば、

 &math(
[\hat c_i^\dagger,\hat c_j^\dagger]=0
);

となる。

*** (2) $[\hat c_i,\hat c_j]=0$ [#u859641e]

任意の状態に消滅演算子を作用させる場合にも、その順番には依らないから、

 &math(
[\hat c_i,\hat c_j]=0
);

*** (3) $[\hat c_i,\hat c_j^\dagger]=\delta_{ij}$ [#t9cc09e4]


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