スピントロニクス理論の基礎/2 の履歴(No.1)
更新スピントロニクス理論の基礎
培風館 多々良源 「スピントロニクス理論の基礎」 (第1刷)の8〜10章を植田暁子先生の連続セミナーで2011年7月末から勉強しました。その途中で気付いた教科書の誤植や、難しい部分の注釈(というか武内のノートの内容)を記録しておきます。
その後、引き続いて2〜5章を本多周太先生のセミナーで勉強しました。
2012.06.01 多々良先生から「スピントロニクス理論の基礎」の第2刷をお送りいただきました。 以下のページは第1刷を元にしていますが、第2刷の記述により私の勘違いが明らかになった部分について見直しを始めています。
下記ページ内の数式で赤字で示した部分は同書第1刷の誤植の可能性があると武内が考えた部分です。第2刷で修正された部分が多いですが、武内の勘違いだった部分も多いのではないかと思います。というか、未確認の部分が多いです。すみません。
- スピントロニクス理論の基礎/2
- スピントロニクス理論の基礎/3
- スピントロニクス理論の基礎/4
- スピントロニクス理論の基礎/5-1
- スピントロニクス理論の基礎/5-2
- スピントロニクス理論の基礎/5-3
- スピントロニクス理論の基礎/5-4
- スピントロニクス理論の基礎/5-5
- スピントロニクス理論の基礎/5-6
- スピントロニクス理論の基礎/5-7
- スピントロニクス理論の基礎/8-1
- スピントロニクス理論の基礎/8-2
- スピントロニクス理論の基礎/8-3
- スピントロニクス理論の基礎/8-4
- スピントロニクス理論の基礎/8-5
- スピントロニクス理論の基礎/8-6
- スピントロニクス理論の基礎/8-7
- スピントロニクス理論の基礎/8-8
- スピントロニクス理論の基礎/8-9
- スピントロニクス理論の基礎/8-10
- スピントロニクス理論の基礎/8-11
- スピントロニクス理論の基礎/9-1A
- スピントロニクス理論の基礎/9-1B
- スピントロニクス理論の基礎/9-2
- スピントロニクス理論の基礎/9-3
- スピントロニクス理論の基礎/9-4
- スピントロニクス理論の基礎/X-1
- スピントロニクス理論の基礎/X-2
- スピントロニクス理論の基礎/X-3
- スピントロニクス理論の基礎/X-4
- スピントロニクス理論の基礎/X-5
- スピントロニクス理論の基礎/X-6
- スピントロニクス理論の基礎/疑問点
これらのページの著者(武内)はこの分野の専門家ではありません。 上記教科書の内容およびセミナーで教えていただく内容だけを元に、 考えたことを書き連ねただけです。間違いも含まれていると思われますし、 教科書から外れた内容を考察している部分についても、すでに知られた 内容について車輪の再発明をしているだけであると思います。
先行研究へのリファレンスが完全に欠如していますが、 それは上記のような事情であり、 内容のオリジナリティを主張する物ではありませんので どうぞご了承下さい。
2 磁性と電気伝導の基礎†
磁化と局在スピン†
磁化 は という単位を持ち、物質の持つ磁気モーメント を体積当たりにした量。これと原子当たりのスピンの大きさ との関係は、電子スピンあたりの磁気モーメントが なので:
&math( a^3 \bm M=-g\mu_B \bm S );
より、(2.9)
&math( a^3 \bm M=-\frac{g\mu_B}{a^3}\bm S );
となる。( であることに注意)
強磁性相互作用†
隣り合うスピンが平行になると安定なので、最隣接のみを考慮したハミルトニアンは
&math( H_J=-J_0\sum_{\bm r,\bm a}\bm S(\bm r)\cdot\bm S(\bm r+\bm a) );
ただし であり、 は隣の格子点へのベクトル。
ダブルカウントを防ぐことを考えると、立方格子であれば は
&math( \bm a=\begin{pmatrix}a\\ 0\\ 0 \end{pmatrix} \mathrm{or} \begin{pmatrix}0\\ a\\ 0 \end{pmatrix} \mathrm{or} \begin{pmatrix}0\\ 0\\ a \end{pmatrix} );
の3種類を取る。
連続極限†
フェルミエネルギーレベルの極端に高エネルギーの電子伝導を考えない限り、 格子の効果は均して考えることができる → 連続極限
&math( \bm S(\bm r)\cdot \bm S(\bm r+\bm a)=-\frac{1}{2}\{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2 + S^2 );
は大きさを変えず、向きだけ変化するとすると、 の項は定数項として落とせる。
を小さいとして1次の効果のみ考えれば、
&math( \{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2= \{\bm a\cdot\bm \nabla S_x(\bm r)\}^2+ \{\bm a\cdot\bm \nabla S_y(\bm r)\}^2+ \{\bm a\cdot\bm \nabla S_z(\bm r)\}^2 );
&math( \bm a&=(a,0,0),(0,a,0),(0,0,a)\\ &=a\bm e_x,a\bm e_y,a\bm e_z );
なので、
&math( \sum_{\bm a=a\bm e_x\!,\, a\bm e_y\!,\, a\bm e_z}& \{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2\\ =\ &a^2\{\bm \nabla S_x(\bm r)\}_x{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_x(\bm r)\}_y{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_x(\bm r)\}_z{}^2+\\ &a^2\{\bm \nabla S_y(\bm r)\}_x{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_y(\bm r)\}_y{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_y(\bm r)\}_z{}^2+\\ &a^2\{\bm \nabla S_z(\bm r)\}_x{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_z(\bm r)\}_y{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_z(\bm r)\}_z{}^2\\ \equiv&\ \{\nabla \bm S(\bm r)\}^2 );
より、
&math( H_J=\frac{J}{2}\sum_{\bm r\nabla \bm S(\bm r)2 );
ただし、 である。
2012/02/27 のセミナーでの話として:
これは物質が等方的な場合の話で、容易軸・困難軸等がある場合には
z軸に向きやすい
や、
y軸に向きにくい
などの項を含める場合もある。
とのこと。