private/量子力学I/前期量子論
準備:波動を表わす関数†
速度 $v$ で移動する関数†
は、
を
の正方向に
だけ移動した関数になる。

は
が時刻
において
だけ移動した関数、
すなわち、
の関数が形を変えずに
の正方向に速度
で伝播する関数になる。
位相速度 $v$ で伝播する波(一次元)†
は、波数
の正弦波が速度
で伝播する関数になる。
が波長
、
波数
の正弦波であることに注意せよ。

と書けば、
この関数は時間に対して角振動数
で振動することが分かる。
速度
の波が1周期
の間に進む距離が波長
だから、
両者の逆数を取って、
を確かめられる。
位相速度 $v$ で伝播する平面波(三次元)†
3次元空間で定義された
という関数は
軸方向に進む平面波を表わす。
以下では、3次元空間内で任意の方向に進む平面波を考える。
のとき、
は
の
方向成分の長さ
という方程式は、
に平行で、原点から
方向に
だけ離れた平面を表わす方程式
したがって、
は、
方向に波長
の正弦波で、
に垂直方向には一定値を取る平面的な波を表わす。
(下図は二次元の場合)

と書けるから、
これは
の
方向成分に、
をかけた値になる。
すなわち、
は、
方向に波長
、波数
の正弦波を表わす。
さらに、
とすれば、
より、
波数
、周期
、速度(位相速度)
で伝播する平面波を表わす。
演習:波動方程式(電磁波の場合)†
平面波
が電磁波の波動方程式
を満たすことを示したい。
(1)
となることを示せ
(2)
となることを示せ
(3)
となるためには
と
の間にどのような関係が必要か
(4) 速度
で進む波の周期
と波長
との間には
の関係がある(1回振動する間に進む距離が波長である)。
をそれぞれ
で書き直して、(3) と同じ式が得られることを示せ
(5) より一般に、任意の関数
に対して、
が
を満たすことを示せ
自由な電子の波動方程式†
外力を受けない(自由な)電子の満たすべき波動方程式はどのようなものであろうか?
分かっていることは、
- 運動エネルギーと周期の関係
- 運動量と波数の関係
- 運動エネルギーと運動量の関係
を満たす平面波になること。これらを組み合わせると、
という条件が得られる。この条件を満たすような波動方程式を作ろう!
波を
と置いてみると、
となって、上の式では
、下の式では
が現れてきてしまうため、
と
の間の式にしづらい・・・
や
は微分により形が変わってしまうのが問題。
微分で形の変わらない関数を使えば波動方程式が作れそう。
→
と置けば、これも波数
、各週波数
の波動を表わす
これらを用いて
の関係を表わすと、
これが自由な電子に対するシュレーディンガー方程式である。
外力を受ける場合†
電子に外力がかかるとき、電子の感じるポテンシャルエネルギーを
とすると、
電子のエネルギーは
となる。そこで、シュレーディンガー方程式も、
となる。