電磁気学/Faraday の電磁誘導 の履歴(No.5)
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§1−4 Faraday (ファラデー) の電磁誘導†
電磁誘導 = 磁束の変化が起電力を生じる
$$ \underbrace{\phi\vphantom{\frac00}}_\text{起電力}=-\frac{d}{dt}\underbrace{N\vphantom{\frac00}}_\text{磁束} $$
磁束は磁力線の本数のことである。
$$ \underbrace{N}_\text{磁束}=\underbrace{B}_\text{磁束密度}\cdot \underbrace{S}_\text{面積} $$
起電力は経路に沿って電場を積分したもの。 この場合は回路に沿った閉ループ $C$ が経路となる。
$$ \phi=\oint_C \bm E\cdot d\bm r $$
回路が複数巻きのコイルである場合には、磁束及び起電力の式に「巻き数$\,n\,$」を乗じる。
起電力 = 電位?†
次のような疑問が生じるかもしれない。
- 「電位」も電場を線積分したものではなかったか?
- 「起電力」は「電位」とは違うのか?
- 「電位」ならば一周して戻ってくればゼロになるはずだが、電磁誘導の法則はゼロにならないと言っている?!
後にしっかり学ぶように、「電位」は静電場でしか定義されないからここでは考えてはいけない。
「動電磁場」では「ベクトルポテンシャル」や「スカラーポテンシャル」の出番。
上記はあくまで「起電力」である。
コイルが無くても†
実はコイルが無くても、変動する磁場の周囲には電場が発生している!
- そこにコイルがあれば抵抗に応じた電流が流れる
- コイルがなければ抵抗が無限大なので電流は流れない
- 起電力も簡単には測れない
- 電場自体は測定可能
磁束?†
「コイルを貫く磁束」は常に定義可能だろうか?$C$ が平面上にあれば良いけれど、 曲がっているような場合には「面積」はどのように取ればいいのだろう?
ここで、「磁力線は常にループになる」というのが効いてくる。
磁力線の作るループのうち、閉曲面と「からんでいるループの数」が閉曲面を貫く磁力線の本数である、とすれば「コイルを貫く磁束」は明確に定義される。
数式で表す場合には以下のように考えればよい。コイルを表す閉曲線 $C$ に対して、$C$ を
$$ N_C=\int_{S_1}\bm B\cdot\bm ndS=\int_{S_2}\bm B\cdot\bm ndS $$
なぜなら、$S_1,S_2$ をつなげた閉曲面 $S=S_1-S_2$ およびその中の体積 $V$ を考えれば、
$$ \begin{aligned} &\int_{S_1}\bm B\cdot\bm ndS-\int_{S_2}\bm B\cdot\bm ndS\\ &=\int_S\bm B\cdot\bm ndS\\ &=\int_V\DIV\bm Bd^3x\\ &=0 \end{aligned} $$
であるためだ。最後に $\DIV \bm B=0$ を用いた。
磁力線は途中で途切れることなく常にループを描くから、 もし磁力線が $S_1$ を貫くけば、それは必ず $S_2$ も貫くのである。
以上から、磁束の値は縁の形状 $C$ のみにより定義され、磁束を積分する面の取り方に依らないことが分かった。
Faraday の法則(積分形)†
起電力及び磁束を積分で書けば、次式を得る。
$$ \underbrace{\oint_C \bm E\cdot d\bm r}_{\phi}=-\frac{d}{dt}\underbrace{\int_S\bm B\cdot\bm n dS}_{N} $$
Faraday の法則(微分形)†
左辺に Stokes の定理 を適用すれば、
$$ \int_S \rot\bm E\cdot \bm n\,dS=-\int_S\frac{\PD\bm B}{\PD t}\cdot\bm n\,dS $$
$S$ は任意に取れるため、
$$ \rot\bm E(\bm x,t)=-\frac{\PD}{\PD t}\bm B(\bm x,t) $$
この式を見て、「$\bm E$ を一周積分した起電力が磁束の時間変化に等しい」と読めるように復習しておくこと。