線形独立、基底及び次元 のバックアップソース(No.3)

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[[線形代数Ⅱ]]

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* 線形結合・一次独立・従属 [#n644d790]

線形代数I で学んだ 線形結合・一次独立・従属の概念を一般の線形空間でも使う

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の線形結合:~
&math(\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=c_1\bm v_1+c_2\bm v_2+\dots+c_m\bm v_m);

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); が「一次独立である」とは、

>&math(\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=c_1\bm v_1+c_2\bm v_2+\dots+c_m\bm v_m=\bm 0); から &math(c_1=c_2=\dots=c_m=0); を導けること

&math(c_1=c_2=\dots=c_m=0); 以外でも成り立つなら「一次従属である」という

問:実数を係数とする2次以下の &math(x); の多項式の集合について考える~
&math(x^2+3x-2, -x^2+2x, 3x^2); は線形独立か?

答:&math(a(x^2+3x-2)+b(-x^2+2x)+c(3x^2)=0); とすると、
&math((a-b+3c)x^2+(3a+2b)x+(-2a)=0);

ここに現れた等号は、2つの多項式を比較する等号であるから、
左辺と右辺とで、対応する次数にかかる係数がすべて等しくなければならない。

すなわち、&math(a-b+3c=0,3a+2b=0,-2a=0); となり、
これを満たす &math(a,b,c); は &math(\{a,b,c\}=\{0,0,0\}); しか存在しない。

したがって、線形独立である

* 張る空間・生成元・部分空間 [#p7f650df]

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の%%%張る空間%%%は、~
&math(W\equiv\set{\bm v=\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i| c_1,c_2,\dots,c_m\in K}); として定義され、~
&math(W=\big<\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\big>); と書く。

このような &math(W); は和、スカラー倍に対して閉じており、それ自身も線形空間となる。

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); を &math(W); の生成元という。

一般に、&math(W\subset V); が線形空間となるとき、&math(W); は &math(V); の部分空間である、という。

多くの場合、~
-1つのベクトルで生成される空間は直線的である &math(W_1=\big<\bm a\big>);
-1つのベクトルで生成される空間は平面的である &math(W_2=\big<\bm a,\bm b\big>);
-1つのベクトルで生成される空間は空間的である &math(W_3=\big<\bm a,\bm b, \bm c\big>);

ただし、&math(\bm a,\bm b,\bm c); が一次従属である場合にはその限りではない!

* 基底・次元 [#t268fa3f]

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); が &math(V); を張り、~
なおかつ一次独立であるとき、~
&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); は &math(V); の基底である、と言う。

基底を構成するベクトルの数を線形空間の次元と呼ぶ。

ある空間 &math(V); について基底の取り方には任意性があるが、
構成するベクトルの数は一意に決まることを後に証明する。

例:2次以下の &math(x); の多項式の集合を &math(V); とするとき、
&math(\bm b_1=x,\bm b_2= 3x^2+1,\bm b_3=2\in V); は &math(V); を張り、
また、一次独立であるから、&math(V); の基底となる~
すなわち、&math(V); は3次元である

* 列ベクトル表示(数ベクトル表現) [#b391d31c]

** 準備 [#rca6d364]

定理:

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n\in V); を &math(V); の基底とすれば、
&math(\forall \bm x\in V); はこれらの一次結合として一意に表される。

証明:

&math(\bm x=\sum c_i\bm v_i=\sum c_i'\bm v_i); とすると、

&math(\sum (c_i-c_i')\bm v_i=\bm 0);

基底の線形独立性から、

&math(c_1-c_1'=c_2-c_2'=\dots=c_n-c_n'=0);

となる。

** 数ベクトル空間との1対1対応 [#k774687f]

上記の線形結合を、ベクトルのかけ算表示を使って

&math(
\bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big)
\begin{pmatrix}
x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n
\end{pmatrix}
);

の形に書けば、

&math(\forall \bm x\in V); に対して、対応する &math(\bm x'=\begin{pmatrix}
x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n
\end{pmatrix} \in \mathbb R^n
);
が1つ決まる。

逆に、&math(\forall \bm x'\in \mathbb R^n); に対して、
&math(
\bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big)\bm x' \in V
); が1つ決まることから、

線形空間 &math(V); の元と &math(\mathbb R^n); の元との間に1対1の対応が付くことになる。

&math(\bm x'); を &math(\bm x); の列ベクトル表示という。

上記の対応関係は ベクトル和 や スカラー倍 に対しても保存されることから、
任意の線形空間 &math(V); は、同じ次元を持つ数ベクトル空間 &math(\mathbb R^n); 
と強い類似性を持つことが分かる。

こういう時、&math(V); と &math(\mathbb R^n); は「同型である」、と言う。

以下で同型を定義する。

* 写像 [#h358e130]

集合 &math(U); から集合  &math(U'); への写像とは、~
&math(U); の元それぞれに対して1つずつ、
&math(U'); の元を対応させる規則のことである

「1つずつ」が重要

- 対応する元が1つも無いような &math(U); の元があるなら写像ではない
- 対応する元が2つ以上あれば写像ではない
- 異なる元 &math(x_1,x_2\in U); に対して、同じ &math(x'\in U'); 
が対応するのは問題ない

&math(U); の元を1つ与えれば、必ず1つだけ &math(U'); の元が決まるということ

&math(f); が &math(U); から &math(U'); への写像であることを、

&math(f: U\to U');

と書く。

&math(x\in U); の時、&math(x'=f(\bm x)\in U'); である。

** 線形写像 [#ibeddaa7]

&math(V,V'); を線形空間として、
&math(f:V\to V'); が次の条件を満たすとき、&math(f); は「線形である」と言うのであった。

- &math(f(a\bm x+b\bm y)=af(\bm x)+bf(\bm y));

すなわち、写像がベクトル和やスカラー倍に対して透過的であると言うこと。

あるいは、&math(T:V\to V'); として、

- &math(T(\bm x+\bm y)=T\bm x+T\bm y);
- &math(T(c\bm x)=cT\bm x);

のように括弧を省略して書くこともよく行われる。

注)~
左辺の和やスカラー倍が &math(V); で定義された演算であるのに対して、~
右辺の和やスカラー倍は &math(V'); で定義された演算であることに注意せよ。~
(すなわち &math(V); と &math(V'); は同じスカラーの上に定義されている必要がある)

例:
&math(V=\{xの3次以下の多項式\});、&math(V'=\{xの2次以下の多項式\}); として、
&math(T:V\to V'); を

&math(T\bm x\equiv\frac{d}{dx} \bm x);

と定義すれば、これは線形写像になる。~
(関数線形空間に対して微分や積分を線形写像と考えるのはこれから非常に良く出てくる考え方)

*** 練習 [#j3e80a73]

問:&math(T); が線形写像であれば、&math(T(\bm 0)=\bm 0); となることを示せ。

答:&math(T(\bm 0)=T(0\bm 0)=0T(\bm 0)=\bm 0);

** 1対1写像(単写) [#f9291c06]

&math(T(ax^2+bx+c)=(a,b,0)); も &math(V\rightarrow\mathbb R^3); の線形写像である、
が、&math(T(ax^2+bx+c)=T(ax^2+bx+c')=(a,b,0)); となる。

このように、一般の写像では異なるベクトルが同じ値に移される場合がある。

&math(\bm x\ne \bm y); であれば必ず &math(T(\bm x)\ne T(\bm y)); であるとき、
&math(T); は1対1写像である、あるいは、単写である、と言う。

&attachref(写像.png,,50%);

1対1という言葉の意味:1対nはそもそも写像にならない。n対1になっていないことを示している。

** 上への写像(全写) [#u804c5ca]

任意の &math(v'\in V'); に対して、そこに移ってくる &math(V); の元を見つけられる時、
上への写像、あるいは、全写であるという。

例えば、&math(T(ax^2+bx+c)=(a,b,c)); は &math(V\rightarrow\mathbb R^3); への全写であるが、~
&math(T(ax^2+bx+c)=(0,a,b,c)); は &math(V\rightarrow\mathbb R^4); への全写ではない。

「上へ」というのは、&math(T); により &math(V); 全体を移したときにできる「像」
(しばしば &math(T(V)=\set{T(\bm v)\in V'|\bm v\in V}); と書かれる) が、
&math(V'); の真上に、全体を覆い尽くすように被さるため。

&attachref(上への写像.png,,50%);

** 上への1対1写像(全単写) [#x5e3aeb2]

単写かつ全写であることを言う。

このときに限り、「逆写像 &math(T^{-1});」が定義できる。

- 1対1でないと、ある &math(v'\in V'); に複数の &math(v\in V); が対応してしまう
- 上への写像でないと、ある &math(v'\in V'); に対応する &math(v\in V); が存在しない場合がある

*** 練習 [#cdc16e96]

問:逆写像 &math(T^{-1}); は線形写像であることを示せ

答:
&math(\bm X=T(\bm x), \bm Y=T(\bm Y)); とすると、
&math(\bm x=T^{-1}(\bm X),\bm y=T^{-1}(\bm Y));

一方、

&math(T(\bm x+\bm y)=T(\bm x)+T(\bm y)=X+Y); 

の両辺に &math(T^{-1}); を作用させると

&math(\bm x+\bm y=T^{-1}(X)+T^{-1}(Y)=T^{-1}(X+Y)); 

また、

&math(T(k\bm x)=kT(\bm x)=kX); 

の両辺に &math(T^{-1}); を作用させると

&math(k\bm x=kT^{-1}(X)=T^{-1}(kX)); 

となって、 &math(T^{-1}); が線形であることが示された。

** 同型 [#j11499b9]

&math(V); と &math(V'); との間に上への1対1写像 &math(T); が存在する時、
&math(V); と &math(V'); は同型であるといい、~
&math(V\simeq V'); と書く。

またこのとき、&math(T); を同型写像と呼ぶ。

これは上で述べた2つの写像が「似ている」ことを数学的に表わした物。~
同型写像によって、2つの空間はすべて1対1に対応することになる。

&math(T(ax^2+bx+c)=(a,c,b)); とか、~
&math(T(ax^2+bx+c)=(a+b,a-b,c)); とかも同型写像になる。
同型である2つの線形空間の間の同型写像は一意には決まらないことに注意が必要。

線形空間の「同型」は同値関係の公理を満たす。すなわち、

+ &math(V\simeq V);   : 反射律
+ &math(V\simeq V'\to V'\simeq V); : 対称律
+ &math(V\simeq V' \wedge V'\simeq V''\to V\simeq V''); : 推移律

同型の線形空間は構造が似ているため、一方を調べればもう一方のことが分かる。~
特に、&math(\mathbb R^n); への同型が分かればほぼすべて分かったも同然!となる。

** 例 [#f06ed7b5]

&math(V\to V'); の同型写像を &math(T(\bm x)); とする。

&math(\bm a, \bm b, \bm c\in V); が線形独立であれば、~
&math(T(\bm a), T(\bm b), T(\bm c\)in V'); も線形独立である。~

対偶を証明する。

もし &math(T(\bm a), T(\bm b), T(\bm c\)in V'); が線形従属であれば、
すべてがゼロではない3つのスカラー &math(\alpha,\beta,\gamma); に対して

&math(\alpha T(\bm a)+\beta T(\bm b)+\gamma T(\bm c\)=\bm 0);

が成立する。&math(T); は線形なので、

&math((左辺)=T(\alpha \bm a+\beta \bm b+\gamma bm c\)=\bm 0);

ここで、


&math(\therefore T^{-1}(\bm 0)=\bm 0);



* 4-2 線形独立、基底及び次元 [#mceb0c53]

あるベクトル &math(\bm v\in V); をベクトル &math(a_1,a_2,\dots,a_l); 
の一次結合で表せる場合と、表せない場合がある。

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