量子力学Ⅰ/箱の中の自由粒子 のバックアップ差分(No.7)

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* 概要 [#a6588189]

シュレーディンガー方程式を解くという問題は一般に非常に難しく、
特に解析的に解ける例は非常に限られている(それ以外は数値的に、あるいは近似的に解くことになる)。

ここでは最も簡単な2つの例について時間に依存しないシュレーディンガー方程式を解き、
定常的な解を求めることにより、波動関数の一般的な性質を学ぶ。
ここで学ぶのは束縛された系に対する問題であり、
この場合には離散化したエネルギー固有値および固有関数が得られる。

 &math(
\left(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\PD^2}{\PD x^2}+V(x)\right)\psi(x)=E\psi(x)
);

* 演習:1次元の箱の中の自由粒子 [#kde8bf85]

&math(a); を正の定数として、&math(0<x<a); の領域に閉じ込められた電子の定常状態を考える。

このような状況は、上記の範囲内で &math(V(x)=0);、範囲外で &math(V(x)=+\infty);
と仮定することで実現され、井戸型ポテンシャルの問題とも呼ばれる。

&attachref(infinity-well.png,,25%);

(1) 箱の中の領域での時間に依存しないシュレーディンガー方程式を書き下せ。

(2) &math(\psi(\bm r)=Ae^{ikx}+Be^{-ikx}); の形の波動関数が (1) の解となることを確かめ、
&math(k); の値を定めよ。
この式は2つの任意パラメータを含むことから、上記2次微分方程式に対する一般解である。

(3) 箱の外では &math(\psi(x)=0); となる。その理由を答えよ。

(4) 波動関数の連続性より、箱の内側でも壁面においても &math(\psi(x)=0); でなければならない。
この境界条件を満たすために &math(k); に課される条件を
任意の自然数を表わす変数 &math(n); を用いて書け。

以下、&math(n); で指定される &math(k); を &math(k_n);、
対応する波動関数を &math(\phi_n(x));、
対応するエネルギー固有値を &math(E_n); と書く。
このように離散化した固有値や固有関数を指定する指標 &math(n); は
量子数と呼ばれる。

(5) &math(E_n); を求めよ。

(6) &math(\phi_n(x)); を求めよ。ただし、規格化すること。

** 解答 [#o6def795]

(1) 一方、箱の内部では &math(V(x)=0); であるから、シュレーディンガー方程式は
(1) 箱の内部では &math(V(x)=0); であるから、シュレーディンガー方程式は

 &math(
-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\PD^2}{\PD x^2}\psi(x)=E\psi(x)
);

 &math(
\left(\frac{\PD^2}{\PD x^2}-\frac{-2mE}{\hbar^2}\right)\psi(x)=0
);

(2) 代入すれば、

 &math(\left(-k^2+\frac{2mE}{\hbar^2}\right)\psi(x)=0);

したがって、&math(k^2=\frac{2mE}{\hbar^2}); から
&math(k=\sqrt{\frac{2mE}{\hbar^2}}); と求まる。
&math(k=\frac{\sqrt{2mE}}{\hbar}); と求まる。

(3) &math(V(x)=+\infty); の点で &math(\psi(x)\ne 0); であれば方程式を満たさないため。

(4) 境界条件は &math(\psi(0)=\psi(a)=0); であるから、

 &math(\psi(0)=A+B=0); すなわち &math(B=-A);

 &math(\psi(a)=A(e^{ika}-e^{-ika})=-2iA\sin(ka)=0);

したがって、&math(n); を任意の整数として &math(ka=n\pi); すなわち、

 &math(k=k_n=n\pi/a);

という条件が得られる。

ここで、&math(n=0); は &math(k=0);、
すなわち &math(\psi); が定数となり、境界条件から &math(\psi(x)=0);
となってしまい、解にはならない。
また、&math(n); と &math(-n); とは解の符号が変わるのみであるから、
独立な解にならない。

 &math(n); を自然数に限ることにより、異なる &math(n); が独立な固有関数を表わす。
 &math(n); を自然数に限ることにより、異なる &math(n); がそれぞれ独立な固有関数を表わす。

(5) (2) の式を &math(E); について解くことにより、

 &math(E_n=\frac{\hbar^2 k_n^2}{2m}=\frac{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}n^2);

(6) 固有関数は &math(\psi_n(x)=A\sin(n\pi x/a)); の形になる。

 &math(
\int_0^a|\psi(x)|^2\,dx
&=\int_0^a\big[A\sin(n\pi x/a)\big]^2\,dx\\
&=|A|^2\int_0^a\frac{1-\cos(2n\pi x/a)}{2}\,dx\\
&=\frac{|A|^2}{2}\Big[x-\frac{a}{2n\pi}\sin(2n\pi x/a)\Big]_0^a\\
&=\frac{a|A|^2}{2}\\
&=1\\
);

より、例えば &math(A=\sqrt{2/a}); と置けば良く、

 &math(\psi_n(x)=\sqrt{2/a}\sin(n\pi x/a));

** 解説 [#y2411480]

上記の解法を顧みると、シュレーディンガー方程式の解の一般形に
境界条件を課したことにより内部のパラメータが量子数を含む形で書かれ、
上記の解法を顧みると、境界条件を課したことにより
シュレーディンガー方程式の解の一般形に含まれるパラメータが量子数を含む形で書かれ、
その結果としてエネルギー固有値が離散化した。
境界条件が固有値を離散化するという状況は他の問題でも共通して現れるため、
良く理解しておくこと。

一般に、%%%束縛された電子では%%%「境界条件が固有値を離散化する」状況が共通して現れるため、
このしくみを良く理解しておくこと。

グラフは左が &math(\psi_n(x));、右が &math(|\psi_n(x)|^2); で、&math(n=1,2,3); を示している。

&ref(infinity-well1.png,,50%); 
&ref(infinity-well1.png,,50%);  
&ref(infinity-well2.png,,50%);

&math(n); 番目の固有関数は &math(n); 個のピークと &math(n-1); 個の&ruby(ふし){節};を持つ。

&math(n); が大きいほどエネルギーが高くなるが、ここでは &math(V(x)=0); であるから、
そのエネルギーはすべて運動エネルギーである。
古典論によれば無限大のエネルギー障壁は弾性壁となり、電子は壁の間を一定速度で往復運動する。
そしてこの往復運動の速度が系のエネルギーに相当する。
ここで求めたエネルギー固有関数は有限の運動エネルギーを持つ物の「定常状態」を表わし、
ここで求めたエネルギー固有関数は有限の運動エネルギーを持つにもかかわらず「定常状態」を表わし、
確率密度の空間分布は時間によらない。

&math(n=1); が最低エネルギーの状態を表わしており、そのような状態は基底状態と呼ばれる。
これに対して、&math(n>1); は励起状態と呼ばれる。

興味深いことに、&math(n=1); の基底状態においても系は有限の運動エネルギーを持っている。

 &math(E_1=\frac{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2});

基底状態における運動をゼロ点運動、エネルギーをゼロ点エネルギーと呼ぶ。
一般に、電子を閉じ込める範囲が狭ければ狭いほど、ゼロ点エネルギーは上昇する。
* 非定常状態の解 [#k2381f9a]

#ref(time-dependent.png,around,right,50%);

非定常状態の例として、初期状態を

 &math(\Psi(x,0)=C\sum_{k=1}^\infty \frac{1}{k!}\psi_k(x));

と置いてみる。これは右図のように中心から左に寄った位置にピークを持つ分布を表わす。係数 &math(C=1/\sqrt{\big(I_0(2)-1\big)}); は規格化因子で、&math(I_n(z)); は第1種変形ベッセル関数である。

それぞれの &math(\psi_k(x)); の時間発展は

 &math(\Psi_k(x,t)=e^{iE_k t/\hbar}\psi_k(x));

であり、シュレーディンガー方程式は線型であるから、上の初期状態で与えられる波動関数の時間発展は

 &math(\Psi(x,0)=C\sum_{k=1}^\infty \frac{e^{iE_k t/\hbar}}{k!}\psi_k(x));

で与えられる。

&attachref(time-dependent.gif,,50%);  
&attachref(time-dependent2.png,,50%);

右は縦軸を時間軸として表示したもので、
赤線は &math(x); 座標の期待値を表わす。

 &math(\overline{x}(t)=\int x |\Psi(x,t)|^2dx);

電子が2つの壁にはね返り、振動する様子が見て取れる。

このように、シュレーディンガー方程式を満たす関数群 &math(\Phi_k(x,t)); 
の一次結合で初期状態を表わせるならば、その状態の時間発展は容易に求められる。

** メモ [#n62d71f3]

上記グラフを表示するための Mathematica ソース:

 LANG:mathematica
 Sum[(1/n!)^2, {n, Infinity}]
 (* output: -1 + BesselI[0, 2] *)
 
 psi[x_, t_] := Sqrt[2/(BesselI[0, 2] - 1)] Sum[Exp[I n^2 t] Sin[n Pi x]/n!, {n, 50}]
 
 Module[{t = 0},
   Show[{
     Plot[ Abs[psi[x, t]]^2, {x, 0, 1}, 
       BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Large, PlotRange -> {0, 3}],
     Graphics[Text["t = " <> ToString[t], {0.8, 2.8}, {-1, 0}]]
   }]
 ]
 
 anim = Table[
   Show[{
     Plot[ Abs[psi[x, t]]^2, {x, 0, 1}, 
       BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Large, PlotRange -> {0, 3}],
     Graphics[Text["t = " <> ToString[t], {0.8, 2.8}, {-1, 0}]]
   }], {t, 0, 10, 0.02}
 ];
 Export["time-dependent.gif", anim, "GIF"]
 
 Show[{
   DensityPlot[ Abs[psi[x,t]]^2, {x, 0, 1}, {t, 0, 10}, 
     PlotPoints -> 100, ImageSize -> Large],
   ParametricPlot[
     { NIntegrate[x Abs[psi[x, t]]^2, {x, 0, 1}], t}, 
     {t, 0, 10}, PlotPoints -> 40, ImageSize -> Large, PlotStyle -> {Thick, Red}]
 }, BaseStyle -> {FontSize -> 18}]

* 1次元の箱の中の自由粒子(しみ出す出す場合) [#d98e5d2d]

無限のポテンシャル障壁では壁面で &math(\psi=0); となることが境界条件となったが、
有限のポテンシャル障壁では壁面から外へ波動関数がしみ出すため境界条件が変化する。
この様子を見てみよう。

箱の中の解は上と同様に &math(k=\sqrt{2mE}/\hbar); として、

 &math(\psi(x)=Ae^{ikx}+Be^{-ikx});

箱の外での時間に依らないシュレーディンガー方程式は障壁高さを &math(V); とすれば、

 &math(\left(-\frac{\hbar}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V\right)\psi=E\psi);

ただし、電子は箱の中に閉じ込められているため &math(E<V); である。
このとき、

 &math(\frac{d^2}{dx^2}\psi=\frac{2m(V-E)}{\hbar^2}\psi);

より、

 &math(\psi(x)=Ce^{k'x}+De^{-k'x});

ただし、&math(k'=\frac{\sqrt{2m(V-E)}}{\hbar}); が一般解となる。

&math(x=\pm\infty); で波動関数がゼロに近づくためには &math(x<0); で &math(D=0);、
&math(a<x); で &math(C=0); でなければならない。

&math(x=0); および &math(x=a); で波動関数 &math(\psi); とその1次微分 &math(d\psi/dx); 
がどちらも連続であるという条件の下、&math(A,B,C,D); を決定すると、

&math(A+B=C);、&math(ik(A-B)=k'C);、&math(Ae^{ika}+Be^{-ika}=De^{-k'a});、&math(ikAe^{ika}-ikBe^{-ika}=-k'De^{-k'a}); より、

&math(|A|=e^{-ika/2}/2,B=Ae^{ika},C=A(1+e^{ika}),D=Ae^{k'a}(e^{ika}+1),\ );&math(-(ka/2)\tan(ka/2)=k'a/2);

&math(|A|=e^{-ika/2}/2,B=-Ae^{ika},C=A(1-e^{ika}),D=Ae^{k'a}(e^{ika}-1),\ );&math((k'a/2)\tan(ka/2)=ka/2);

の2種類の解を持つ。上は箱の中で &math(\cos); 的、下は &math(\sin); 的な解である。

&math(-(ka/2)\tan(ka/2)=k'a/2); および &math(-(k'a/2)\tan(ka/2)=ka/2); は &math(\tan); 
の周期性により飛び飛びの解を持ち、これが離散化したエネルギー固有値を与える。


* 3次元の箱の中の自由粒子 [#x7f96fce]

&math(a,b,c); を正の定数として、&math(0<x<a,\ 0<y<b,\ 0<z<c); 
の領域に閉じ込められた電子の定常状態を考える。

 &math(\psi(\bm x)=X(x)Y(y)Z(z));

のように変数分離できることを仮定すれば、

 &math(
&-\frac{\hbar^2}{2m}\left(
  \frac{\PD^2}{\PD x^2}+\frac{\PD^2}{\PD y^2}+\frac{\PD^2}{\PD z^2}\right)X(x)Y(y)Z(z)\\
&=-\frac{\hbar^2}{2m}\left[
  \left(\frac{\PD^2}{\PD x^2}X(x)\right)Y(y)Z(z) + 
  X(x)\left(\frac{\PD^2}{\PD y^2}Y(y)\right)Z(z) +
  X(x)Y(y)\left(\frac{\PD^2}{\PD z^2}Z(z)\right)
\right]\\
&=EX(x)Y(y)Z(z)
);

 &math(
\left(\frac{\PD^2}{\PD x^2}X(x)\right)\frac{1}{X(x)} + 
\left(\frac{\PD^2}{\PD y^2}Y(y)\right)\frac{1}{Y(y)} +
\left(\frac{\PD^2}{\PD z^2}Z(z)\right)\frac{1}{Z(z)}
=\frac{-2mE}{\hbar^2}
);

左辺の各項はそれぞれ &math(x,y,z); のみの関数であり、右辺は定数である。
任意の &math(x,y,z); に対してこの式が成り立つためには、左辺の各項が定数でなければならない。

すなわち、

 &math(
&\left(\frac{\PD^2}{\PD x^2}X(x)\right)\frac{1}{X(x)} = \frac{-2mE_x}{\hbar^2}\\
&\left(\frac{\PD^2}{\PD y^2}Y(y)\right)\frac{1}{Y(y)} = \frac{-2mE_y}{\hbar^2}\\
&\left(\frac{\PD^2}{\PD z^2}Z(z)\right)\frac{1}{Z(z)} = \frac{-2mE_z}{\hbar^2}\\
&E_x+E_y+E_z=E
);

&math(X(x),Y(y),Z(z)); に対する方程式は1次元の箱形ポテンシャルの問題に帰着して、

 &math(X_{n_x}(x)=\sqrt{\frac{2}{a}}\sin(n_x\pi x/a));

 &math(E_{x,n_x}=\sqrt{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}n_x^2);

等の解を得る。&math(\psi(\bm x)); の解は量子数 &math(n_x,n_y,n_z); により指定できて、

 &math(\psi_{n_x,n_y,n_z}(\bm x)=\sqrt{\frac{8}{abc}}\sin(n_x\pi x/a)\sin(n_y\pi y/b)\sin(n_z\pi z/c));

 &math(E_{n_x,n_y,n_z}=\sqrt{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}(n_x^2+n_y^2+n_z^2));

となる。

例えば電子(&math(m=9.11\times 10^{-31}\,\mathrm{kg});) を &math(a=b=c=1\,\mathrm{nm}); 
に閉じ込めれば、ゼロ点エネルギーは &math(11.3\,\mathrm{eV}); となる。

次の準位は &math(E_{211}=E_{121}=E_{112}=22.6\,\mathrm{eV}); である。

このように異なる量子数に対応する波動関数のエネルギーが等しいとき、
それらの準位は縮退していると言う。この様子を示したのが下図左である。

&math(a=b\ne c); ではこのうちいくつかの縮退が解けて、準位の分裂が生じる。
&math(a=b=c/1.1); としたときのエネルギー準位と、分裂前の縮退した準位との関係を下図右に示した。

&attachref(3d-box.png,,25%);

* 1次元の調和振動子 [#l80144e9]

調和振動子のポテンシャルは &math(V(x)=\frac{1}{2}kx^2); であるから、時間に依存しないシュレーディンガー方程式は

 &math(
\left(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+\frac{k}{2}x^2\right)\psi(x)=E\psi(x)
);

このような方程式を解く場合には、変数を無次元化するのが常套手段である。
すなわち、長さの次元を持つ自由変数 &math(x); を変数変換して、無次元の量 &math(\xi); で記述する。
ここでは、

 &math(\xi=\sqrt{\frac{m\omega}{\hbar}}x);, &math(\lambda=\frac{2E}{\hbar\omega});

と置くと良い。ただし、&math(\omega=\sqrt{\frac{k}{m}}); は古典論から得られる角振動数である。
すると与式は、

 &math(
\left(-\frac{d^2}{d\xi^2}+\xi^2-\lambda\right)\psi(\xi)=0
);

となる。&math(\xi); の大きなところでは &math(\lambda\ll \xi^2); となるから、
そこでは &math(\psi); は近似的に次の方程式を満たす。

 &math(
\frac{d^2}{d\xi^2}\psi(\xi)=\xi^2\psi(\xi)
);

ここから予想されるのは、

 &math(
\psi(\xi)=H(\xi)e^{\pm\xi^2/2}
);

という解の形である。系が &math(x=0); 付近に束縛されていることから、
複号は負を取る。

 &math(
&-\frac{d^2}{d\xi^2}\big[H(\xi)e^{-\xi^2/2}\big]+\xi^2H(\xi)e^{-\xi^2/2}-\lambda H(\xi)e^{-\xi^2/2}\\
&=-\frac{d}{d\xi}\big[H'(\xi)e^{-\xi^2/2}-\xi H(\xi)e^{-\xi^2/2}\big]+\xi^2H(\xi)e^{-\xi^2/2}-\lambda H(\xi)e^{-\xi^2/2}\\
&=-H''(\xi)e^{-\xi^2/2}+2\xi H'(\xi)e^{-\xi^2/2}+H(\xi)e^{-\xi^2/2}-\lambda H(\xi)e^{-\xi^2/2}\\
&=0\\
);

両辺を &math(e^{-\xi^2/2}\ne 0); で割れば、

 &math(
H''(\xi)=2\xi H'(\xi)+(1-\lambda) H(\xi)
);

を得る。&math(H(\xi)=\sum_{l=0}^\infty c_l\xi^l); と置いて代入すれば、

 &math(
\sum_{l=0}^\infty l(l-1)c_l\xi^{l-2}=2\xi \sum_{l=0}^\infty l c_l\xi^{l-1}+(1-\lambda) \sum_{l=0}^\infty c_l\xi^l
);

より &math(l\ge 0); において、

 &math((l+2)(l+1)c_{l+2}=(2l+1-\lambda)c_l);~

 &math(c_{l+2}=\frac{2l+1-\lambda}{(l+2)(l+1)}c_l);~

を得る。この式によれば、&math(c_0); を適当に決めると &math(c_{2n}); が、
&math(c_1); を適当に決めると &math(c_{2n+1}); が、
それぞれすべて決まることになる。

&math(c_0=0); あるいは &math(c_1=0); あるいは &math(2l+1-\lambda=0); が成立すれば、
それより大きな &math(l); に対して &math(c_l); がゼロになるが、
そうでない限り &math(c_l); がゼロになることはない。

&math(c_l); がゼロにならない場合、&math(l\to \infty); において

 &math(\frac{c_{l+2}}{c_l}=\frac{2l+1-\lambda}{(l+2)(l+1)}\to \frac{2}{l});~

が成り立つ。これは 

 &math(f(\xi)=e^{2\xi^2}=frac{1}{0!}+\frac{2}{1!}\xi^2+\frac{2^2}{2!}\xi^4+\frac{2^3}{3!}\xi^6+\dots);

とした時の係数の比と同じであり、このようになっていては 
&math(H(\xi)e^{-\xi^2/2}); が &math(\xi\to\pm\infty); 
でゼロに収束するという境界条件を満たさない。

すなわち、&math(c_0); あるいは &math(c_1); のどちらかがゼロであり、
もう一方と同じ偶奇性(パリティ)を持つある &math(l=n); において
 &math(\lambda=2l+1); が成立することが境界条件から要求され、
その結果 &math(c_l\ne 0); となる項は有限個となる。

- &math(n=0); のとき &math(\lambda=1);, &math(H_0(\xi)=1);
- &math(n=1); のとき &math(\lambda=3);, &math(H_1(\xi)=2\xi);
- &math(n=2); のとき &math(\lambda=5);, &math(H_2(\xi)=4(1-2\xi^2));
- &math(n=3); のとき &math(\lambda=7);, &math(H_3(\xi)=c_1(\xi-\frac{2}{3}\xi^3));
- &math(n=4); のとき &math(\lambda=8);, &math(H_4(\xi)=c_0(1-4\xi^2+\frac{4}{3}\xi^4));
- ・・・

ここで現れた多項式 &math(H_n(\xi)); はエルミートの多項式と呼ばれる。
* 3次元の調和振動子 [#y596d643]


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