線形代数II/連立線形微分方程式 の履歴(No.1)

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線形代数Ⅱ

概要

行列の対角化を利用して、連立線形微分方程式を解く。

1階連立線形微分方程式

例題

未知の関数 x_1(t),x_2(t) が次の連立微分方程式を満たす時、

 &math(\left\{ \begin{matrix} \displaystyle\frac{dx_1(t)}{dt}=\dot x_1(t)=ax_1(t)+bx_2(t) \\ \displaystyle\frac{dx_2(t)}{dt}=\dot x_2(t)=cx_1(t)+dx_2(t) \end{matrix} \right.);

この方程式はベクトル関数 \bm x(t)=\begin{pmatrix}x_1(t)\\x_2(t)\end{pmatrix} 、 行列 A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} を用いて、

  \frac{d\bm x(t)}{dt}=\dot{\bm x}(t)=A\bm x(t)

と表せる。

もし A P^{-1}AP=D=\begin{pmatrix}\lambda_1&\\&\lambda_2\end{pmatrix} の形にできるなら、

 &math( \bm x(t)=P\bm y(t)=P\begin{pmatrix}y_1(t)\\y_2(t)\end{pmatrix} );

の変数変換により、

 &math( \dot{\bm x}(t)=\frac{d}{dt}\{P\bm y(t)\}=P\frac{d\bm y(t)}{dt}=A\bm x(t)=AP\bm y(t) );

すなわち、

  \dot{\bm y}(t)=P^{-1}AP\bm y(t)=D\bm y(t)

が得られ、これは

 &math(\left\{ \dot y_1(t)=\lambda_1y_1(t)\\ \dot y_2(t)=\lambda_2y_2(t) \right.);

という方程式を表わす。したがってこの解は、

 &math(\left\{ y_1(t)=y_1(0)e^{\lambda_1t}\\ y_2(t)=y_2(0)e^{\lambda_2t}\\ \right.); あるいは   \bm y(t)=\begin{pmatrix}e^{\lambda_1t}\\&e^{\lambda_2t}\end{pmatrix}\bm y(0)

と解くことができる。

\bm x(t)=P\bm y(t) および \bm y(0)=P^{-1}\bm x(0) を使うと、

 &math(\bm x(t)=P\bm y(t) =P\begin{pmatrix}e^{\lambda_1t}\\&e^{\lambda_2t}\end{pmatrix}\bm y(0) =P\begin{pmatrix}e^{\lambda_1t}\\&e^{\lambda_2t}\end{pmatrix}P^{-1}\bm x(0) );

が得られ、これが初期条件 \bm x(0) が与えられた際に \bm x(t) を求めるための式となる。

この式は、

  \bm x(t)=e^{tA}\bm x(0)

と書くこともできて、この表式から、

 &math(\dot{\bm x}(t)=\frac{d}{dt}\left\{e^{tA}\bm x(0)\right} =\left\{\frac{d}{dt}e^{tA}\right}\bm x(0) =Ae^{tA}\bm x(0) =A\bm x(t) );

のように与えられた微分方程式を満たすことを確認できる。

通常の微分方程式

  \frac{dx(t)}{dt}=ax(t)

の解を

  x(t)=\left(e^{at}\right)x(0)

と表せることと対比して理解せよ。

2階連立線形微分方程式


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