ラグランジュの未定係数法 の履歴(No.4)
更新解きたい問題†
を、
個の拘束条件
の下で最大化・最小化したい (ただし )。
実際には拘束条件の下で の 停留点 を探すことになる。
このような問題は ラグランジュの未定係数法 と呼ばれる手法を使うと簡単に解ける。
キモ†
「拘束条件下での停留点」とは、
を 次元空間のベクトルにおいて 拘束条件を満たす点として、
「 を拘束条件を破らない方向に取る限り」
の一次の変位量がゼロとなる:
という意味である。
拘束条件を破るような方向へ動かしたときに となっても構わないところが 拘束条件付き停留点探しのキモである。
ラグランジュの未定係数法†
未定係数 を用いて
という関数を構成し、
のすべての条件式を満たす点 およびその点における係数 を見つければ、 その点が停留点となる。
また逆に、全ての停留点に対して上記の条件式を満足する係数 が存在する。
すなわち、上の条件式は停留点であるための必要十分条件になっている。
条件式の意味†
での微分からは元の拘束条件が現れるのみであるのに対して、
での微分は、
となるから、 本の条件をすべてまとめてベクトル形式とすれば、
と書ける。これを変形すると、
となり、すなわち
が の一次結合で表せるような点が停留点である
と読める。
停留点の十分条件となっていること†
ラグランジュの未定係数法の条件式を満たす点 が必ず停留点となることは、 以下のように簡単に理解できる。
は拘束条件を満たすから、 をすべての の値を変化させない方向に取った時のみ、変位後の点も拘束条件を満たすことになる。
そのような に対しては、すべての に対して が成り立つ。
このことと条件式より、
&math( \Delta f=\bm\nabla f\cdot\Delta\bm x=\sum_i \lambda_i\underbrace{\bm\nabla g_i\cdot\Delta\bm x}_{=\,0}=0 );
となり、実際に停留点となっていることを確認できる。
停留点の必要条件となっていること†
逆に、停留点であれば必ずラグランジュの未定係数法の条件式を満たす が存在するだろうか?
条件式:
これは、停留点において が の張る空間の元となっていることを主張している。
以下にこの意味を考えよう。
拘束条件の下での停留点を考え、そこからの変位を とする。
何も考えなければ は 次元ベクトル空間 から任意のベクトルを選ぶことができる。
この部分空間として、 本のベクトル が張る部分空間 を考える。
また、すべての と直交するようなベクトルの集合 を考えればこれも部分空間となる。
定義より、これら2つの空間は互いに直交補空間となっている。
すなわち、 は と との直交直和である。
任意の はすべての と直交するから、すなわちすべての に対して となり、 は「制約条件を満たす変位」が作る線形空間となる。
今考えている点は拘束条件の下で停留点であると仮定したから、 制約条件を満たす任意の に対して が成り立つ。
これは、 が の任意の元に直交することを意味しており、 すなわち が の直交補空間 の元であることを示している。
上の仮定から は を張るから、 を の一次結合で表すことが可能。
その係数が なわけである。