スピントロニクス理論の基礎/2 の履歴(No.4)
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2 磁性と電気伝導の基礎†
磁化と局在スピン†
磁化 は という単位を持ち、物質の持つ磁気モーメント を体積当たりにした量。これと原子当たりのスピンの大きさ との関係は、電子スピンあたりの磁気モーメントが なので:
&math( a^3 \bm M=-g\mu_B \bm S );
より、(2.9)
&math( \bm M=-\frac{g\mu_B}{a^3}\bm S );
となる。( であることに注意)
微小円を流れる電流が作る磁気モーメント†
復習として、微小円 (半径 面積 ) を流れる電流 が作る磁気モーメントは、円の法線ベクトルを として、
と表せる。
これと電子スピンの持つ磁気モーメントを比べるとこんな感じ。
磁気モーメントの単位が であるのが当たり前に感じられると良い。
強磁性相互作用†
隣り合うスピンが平行になると安定なので、最隣接のみを考慮したハミルトニアンは
&math( H_J=-J_0\sum_{\bm r,\bm a}\bm S(\bm r)\cdot\bm S(\bm r+\bm a) );
ただし であり、 は隣の格子点へのベクトル。
ダブルカウントを防ぐことを考えると、立方格子であれば は
&math( \bm a=\begin{pmatrix}a\\ 0\\ 0 \end{pmatrix} \mathrm{or} \begin{pmatrix}0\\ a\\ 0 \end{pmatrix} \mathrm{or} \begin{pmatrix}0\\ 0\\ a \end{pmatrix} );
の3種類を取る。
連続極限†
フェルミエネルギーレベルの極端に高エネルギーの電子伝導を考えない限り、 格子の効果は均して考えることができる → 連続極限
&math( \bm S(\bm r)\cdot \bm S(\bm r+\bm a)=-\frac{1}{2}\{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2 + S^2 );
連続極限では は大きさを変えず、その向きだけを の空間スケールに比べて十分ゆっくりと変化すると考える。
- 大きさを変えないことから の項は定数項として落とせる。
- を小さいとして1次の項までで評価する。
&math( \{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2= \{\bm a\cdot\bm \nabla S_x(\bm r)\}^2+ \{\bm a\cdot\bm \nabla S_y(\bm r)\}^2+ \{\bm a\cdot\bm \nabla S_z(\bm r)\}^2 );
立方格子では
&math( \bm a&=(a,0,0),(0,a,0),(0,0,a)\\ &=a\bm e_x,a\bm e_y,a\bm e_z );
なので、
&math( \sum_{\bm a=a\bm e_x\!,\, a\bm e_y\!,\, a\bm e_z}& \{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2\\ =\ &a^2\{\bm \nabla S_x(\bm r)\}_x{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_x(\bm r)\}_y{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_x(\bm r)\}_z{}^2+\\ &a^2\{\bm \nabla S_y(\bm r)\}_x{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_y(\bm r)\}_y{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_y(\bm r)\}_z{}^2+\\ &a^2\{\bm \nabla S_z(\bm r)\}_x{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_z(\bm r)\}_y{}^2+ a^2\{\bm \nabla S_z(\bm r)\}_z{}^2\\ \equiv&\ \{\nabla \bm S(\bm r)\}^2 );
より、
&math( H_J=\frac{J}{2}\sum_{\bm r}\nabla {\bm S}(\bm r)^2 );
ただし、 である。