電磁気学/Stokes の定理 の履歴(No.5)

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電磁気学

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Stokes の定理 (ストークスの定理)

任意の滑らかなベクトル場 $\bm E(\bm x)$ に対して、 ある面積 $S$ を囲む閉曲線 $C$ に沿った回転が、 $\rot\bm E=\curl\bm E=\bm\nabla\times\bm E$ の面積分で表わされるという定理。

$$\begin{aligned} \oint_C\bm E\cdot d\bm r=\int_S\rot\bm E\cdot\bm n\,dS \end{aligned}$$

回転が次の3つの性質を持つことがこの定理の基礎となる。

  • 微小領域の回転は面積に比例する
  • 比例定数は面の法線方向に依存する
  • 全体の回転は部分の回転の和で表せる

微小領域の回転は面積に比例する

一例として、$dx,dy$ を辺とする微小な長方形領域において、 $y$ 軸方向の場が存在する場合、$\bm E(x,y,z)=(0,E_y(x,y,z),0)$

rot.png

その周囲 $C=C_1+C_2+C_3+C_4$ を巡る線積分は、

$$\begin{aligned} \oint_C\bm E\cdot d\bm r&=\int_{C_1}\bm E\cdot d\bm r+\int_{C_2}\bm E\cdot d\bm r+\int_{C_3}\bm E\cdot d\bm r+\int_{C_4}\bm E\cdot d\bm r\\[3mm] &=E_y(x+dx,y,z)\cdot dy+0\cdot dx-E_y(x,y,z)\cdot dy-0\cdot dx\\[1mm] &=\{E_y(x+dx,y,z)-E_y(x,y,z)\}\cdot dy\\[1mm] &=\frac{\PD E_y}{\PD x}\,dx\,dy \end{aligned}$$

のように面積 $dx\,dy$ に比例する。

$\bm E$ の $x$ 方向成分も考えれば、

$$\begin{aligned} \oint_C\bm E\cdot d\bm r=\Big\{\frac{\PD E_y}{\PD x}-\frac{\PD E_x}{\PD y}\Big\}\,dx\,dy \end{aligned}$$

となる。

比例定数は面の法線方向に依存する

微小領域の回転は面積に比例するものの、その比例係数は面の法線方向に依存して値が変化する。

詳細は省くが正しい係数は法線ベクトルを $\bm n$ として、

$$ \rot\bm E\cdot \bm n $$

ただし、

$$\begin{aligned} \rot\bm E=\bm \nabla\times\bm E=\begin{pmatrix} \frac{\PD E_z}{\PD y}-\frac{\PD E_y}{\PD z}\\[2mm] \frac{\PD E_x}{\PD z}-\frac{\PD E_z}{\PD x}\\[2mm] \frac{\PD E_y}{\PD x}-\frac{\PD E_x}{\PD y}\\ \end{pmatrix} \end{aligned}$$

である。面が $z$ 軸に垂直すなわち

$$\begin{aligned}\bm n=\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}\end{aligned}$$

のとき、上で見たとおり比例係数が $\Big\{\frac{\PD E_y}{\PD x}-\frac{\PD E_x}{\PD y}\Big\}$ となることを確認せよ。

全体の回転は部分の回転の和で表せる

与えられた曲面を多数の小領域に分割し、それぞれについて回転を求めれば、 元の曲面の外周を回る回転はそれら小領域の回転の総和と等しい。

stokes.png

例えば図中で赤で示した小領域の回転は、その一辺のみが外周に沿ったものであり、 残りの三辺は隣り合う領域との境界に沿ったものになっている。

しかしこれら隣り合う領域との境界に沿った成分は、 隣の領域の回転に符号を変えて同じ値が現れるため、 総和を取る際に打ち消し合う。

結果的に、総和を取った際に残るのは、注目領域の外周を回る回転となる。

上記を総合することで

$$\begin{aligned} \oint_C\bm E\cdot d\bm r=\int_S\rot\bm E\cdot\bm n\,dS \end{aligned}$$

を得る。

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